インプラントの寿命は10年?20年?長く使いたい人のための完全ガイド

「インプラントは何年くらい使えるのだろう」「できるだけ長く使うには、どのようなケアが必要なのだろう」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
インプラントの寿命は10~15年が一つの目安といわれますが、じつは20年以上使われているケースもあります。
今回は、国内の長期的な調査研究データをもとに、インプラントの寿命と、長持ちさせるためのセルフケア・定期メンテナンスについて解説いたします。
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インプラントの寿命は「メンテナンス」や「お口の状態」によって変わります

インプラントの寿命は、すべての方に共通する年数が決められているわけではありません。
まずは、治療後の経過について報告されているデータを見てみましょう。
10~15年は一つの目安です

インプラントの寿命を考える際に参考になるのが、「残存率」です。
残存率とは、治療を受けたインプラントがお口の中に残っている割合を示します。
多くの研究において、治療から10年後のインプラント残存率は高く、厚生労働省による歯科インプラント治療指針では「92~95%」と報告されています。
参照:厚生労働省|歯科インプラント治療指針「13.歯科インプラント治療と予知性」p13 >
さらに長期間使用した場合の状態を知るために、20年以上経過した方を対象とした調査も見てみましょう。
20年以上使われているケースもあります

国内で行われたアンケート調査では、インプラント治療から20年以上経過した方のうち、84%がインプラントについて「食事の際に何でもよく噛める」と回答しています。
| 経過期間 | 報告されている内容 |
|---|---|
| 治療から10年後 | インプラントの残存率は92~95% |
| 治療から20年以上 | 84%の方が「食事の際に何でもよく噛める」と回答 |
インプラントの使用期間には個人差があり、治療した部位や顎の骨、歯ぐきなどの状態も関係します。
参照:J-STAGE|日本口腔インプラント学会誌31巻(2018)2号「20年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」 >
インプラントの寿命に影響する要因

インプラントを長く使うためには、寿命に影響する要因を知っておくことも大切です。
おもに、次のような要因が挙げられます。
| 寿命に影響する要因 | インプラントへの影響 |
|---|---|
| インプラント周囲炎 | 歯ぐきの炎症が顎の骨にまで広がると、インプラントを支える骨が減少し、ぐらつきにつながることがあります。 |
| 歯ぎしり・食いしばり | 強い力が繰り返しかかることで、人工歯が欠けたり、固定用のネジが緩んだりすることがあります。インプラント体(人工歯根)への負担にもなるでしょう。マウスピースを装着して歯を守る方法もあります。 |
| 喫煙 | 歯ぐきや顎の骨へ酸素が届きにくくなり、手術後の傷の治りやインプラント体と骨の結合に影響することがあります。インプラント周囲炎との関係も指摘されています。 |
インプラントそのものは人工物であるため、むし歯にはなりません。
しかし、インプラントと歯ぐきの境目に歯垢が残ると、細菌によって炎症が起こる場合があります。
炎症が顎の骨にまで及んだ状態が「インプラント周囲炎」です。
進行するとインプラントを支える骨が減少し、ぐらつきや脱落につながる可能性があります。
また、インプラントには、天然の歯にある「歯根膜」というクッションのような組織がありません。
歯ぎしりや食いしばりによって強い力が繰り返しかかると、人工歯の欠けやネジの緩みが起こることがあります。
インプラント周りの炎症や人工歯の不具合を早めに見つけるためにも、「毎日のセルフケア」と「歯科医院での定期的なメンテナンス」を続けましょう。
インプラントを長持ちさせる「セルフケアガイド」

インプラントを長く快適に使うためには、インプラントの周りだけでなく、お口全体を清潔に保つことが大切です。
ここでは、ご自宅で行いたいケアについてご紹介します。
インプラント周囲炎を予防する
インプラント周囲炎は、初期には痛みがほとんどなく、ご自身では気づきにくいことがあります。
予防するためには、インプラントと歯ぐきの境目に付着した歯垢を、毎日の歯磨きで取り除くことが大切です。
特に、次の部分は歯垢が残りやすいため、意識して磨きましょう。
・インプラントと歯ぐきの境目
・インプラントと隣の歯の間
歯ブラシの毛先が届きにくい場所は、無理に力を入れて磨くのではなく、歯科医院で磨き方を確認しておくとよいでしょう。
歯ブラシだけでは落としにくい歯垢には、補助的な清掃用具を使用します。
歯間ブラシやデンタルフロスも使用する

歯ブラシだけでは、「歯と歯の間」に残った歯垢を十分に取り除けないことがあります。
「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を使用すると、インプラントと隣の歯の間も磨きやすくなるでしょう。
ただし、歯間ブラシが大きすぎると、歯ぐきを傷つけることがあります。
「人工歯の形」や「歯と歯のすき間」によって適した用具が異なるため、歯科医師や歯科衛生士に確認してから使用するとよいでしょう。
インプラントを守るためには、周りに残っている天然の歯のケアも欠かせません。
残っている天然の歯も一緒に守る
残っている歯にむし歯や歯周病が起こると、かみ合わせのバランスが変わり、インプラントにかかる負担が大きくなる場合があります。
インプラントだけを念入りに磨くのではなく、天然の歯も含めてお口全体をケアしましょう。
特に、歯周病によって歯を失った経験がある方は、残っている歯とインプラントの周りを継続して確認することが大切です。
毎日丁寧にケアしていても、ご自身では見えない部分の状態まで確認することは難しいため、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けましょう。
歯科医院で受ける「定期メンテナンスガイド」

インプラントの定期メンテナンスでは、人工歯をクリーニングするだけでなく、お口全体の状態を確認します。
定期メンテナンスではお口全体の状態を確認します
歯科医院で確認するおもな項目は、次の通りです。
・歯ぐきの腫れや出血、膿の有無
・インプラントを支える顎の骨の状態
・人工歯の摩耗や欠け
・人工歯を固定するネジの緩み
・かみ合わせのバランス
インプラント周囲炎は、強い痛みがないまま進行することがあるのです。
そのため、必要に応じてレントゲン撮影を行い、インプラントを支えている顎の骨が減っていないかを調べます。
人工歯の欠けやネジの緩みが見つかった場合も、インプラント体に問題がなければ、修理や調整によって使い続けられることがあります。
また、一部分だけが強く当たっている場合は、かみ合わせを調整しますので、気になる部分がある場合は歯科医師に伝えましょう。
歯ぎしりや食いしばりがある方には、睡眠時などにマウスピース(ナイトガード)の装着をご提案することもあります。
喫煙している方は歯科医師にご相談ください

タバコに含まれるニコチンには毛細血管を収縮させる作用があり、一酸化炭素は酸素を運ぶ働きを妨げます。
そのため、喫煙によって手術後の傷の治りや、インプラント体と顎の骨の結合に影響することがあります。
喫煙は、インプラント周囲炎との関係も指摘されているため、インプラントを良好な状態に保つためには禁煙することがおすすめです。
インプラント治療を検討している方や、すでに治療を受けている方は、喫煙習慣の有無を歯科医師に伝え、お口や身体の状態に合った治療やメンテナンスについて相談しましょう。
参照:J-STAGE|日本口腔インプラント学会誌29巻(2016)4号「インプラント周囲炎に関連する全身的リスクファクター」 >
インプラントの寿命やメンテナンスが気になる方はご相談ください

インプラントは、10年や15年で必ず寿命を迎えるものではなく、20年以上使われているケースもあります。
ただし、使える期間には個人差があり、お口の状態や治療後のメンテナンスなどによって異なります。
インプラントの状態を保つには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的な確認が大切です。
ご自身では気づきにくい炎症や人工歯の不具合を、早めに見つけることにもつながります。
歯ぐきの腫れや出血、人工歯のぐらつき、噛み心地の違和感に気づいたときは、次回のメンテナンスを待たずに歯科医院へお問い合わせください。
インプラント治療を受けるか迷っている方や、治療後の経過を確認したい方には、お口や身体の状態に合ったケアや定期メンテナンスについて詳しくご説明いたします。
※インプラントは自由診療です。